ハングルの詩のある風景

수아 樹芽(木の芽) 第8回

歌樽先生:書には書風、絵には画風があるように、作家には作風というものがありますから、それから類推するという方法がありますね。

詩子アナ:なるほど、そういわれると、そのとおりですね。芥川龍之介は「蜘蛛の糸」、井伏鱒二は「山椒魚」、内田康夫はサスペンス、遠藤周作は「沈黙」。

歌樽先生:そういう風にやればいいですね。

詩子アナ:サスペンスの内田康夫とキリスト教文学の遠藤周作は除外できそうですね。

歌樽先生:なかなか、いい感じですよ。

詩子アナ:では、私風にいえば「蜘蛛の糸」と「山椒魚」の戦いですね、

歌樽先生:戦いとかそういう問題ではないんですが、いろいろと考えてみることはいいですね。

詩子アナ:父親の残した訳を自分の好みのまま直したとのことですから、お父様もそうとうの学識者らしいですから、そこらあたりから攻めてみると道が開けるような気がするのですが。

歌樽先生:じゃあ、ここまで進みましたから、私が答をいいましょう。

詩子アナ:えっ!先生がお答えになるんですか。

歌樽先生:今回はいろいろ遠回りしてみようという訳ですから、一つぐらい私が答えても構わないでしょう。

詩子アナ:あの、今出てきたんですけど。答えます!!

10問:答えは、2) 井伏鱒二です。

https://kanbun.info/syubu/toushisen250.html

歌樽先生:滑り込みましたね。井伏鱒二のお父さんは号を素老といって、漢詩文をよくなさったようですよ。ただ、その訳には「粉本」つまり見本にしたものがあったようですがね。

詩子アナ:井伏鱒二のお父さんには「粉本」があり、井伏鱒二にはお父さんという「粉本」があったという訳ですか。私はそれよりもお父さんの「素老」という号が「素月」の「素」と同じだというのに驚きました。

「ハルノネザメノウツツデ聞ケバ」の訳詩は7音が基本で5音が一つですが、素月の訳も7音と5音になっているんですか。

歌樽先生:分かち書きをしていないので、分かりにくいのですが、七五調でも五七調でもないことは確かです。読んでみると3音と4音が基本になっていますから。見てみましょう。

詩子アナ:見ただけで難しそうですね。

아츰도몰으고설잠을자노라면  

            귀ㅅ가에서 지저기는새소리   

            어제ㅅ밤 뒤설닌바람비에     

            꽃입사귀는 얼마나떨엿노     {꽃:原文(ㅅ+ㄱ+ㅗ+ㅅ)  떨:原文(ㅅ+ㄷ+ㅓ+ㄹ)}

歌樽先生:音で読んでみると分かりやすいですよ。

詩子アナ:はい。やってみます。

아츰도몰으고설잠을자노라면  → 아침도 모르고 설잠을 자노라면

귀ㅅ가에서 지저기는새소리   → 귓가에서 지저귀는 새소리

一行目は3・3・3・4、二行目は4・4・3、確かに3音と4音でできていますね。

歌樽先生:この訳詩は金素月の詩の特徴を備えていますね。

詩子アナ:以前、素月の詩の特徴をいくつか学びましたが、ほとんど忘れてしまいました。

歌樽先生:習ったということを覚えているだけでも立派ですよ。

詩子アナ:立派だといわれても困ります。

歌樽先生:ヒントになるかどうかわかりませんが、問題を出してみましょう。

11問:各行の音を調べて、その特徴を見つけましょう。

詩子アナ:あっ!思い出しました。「頭音」と「脚音」を調べたことがありました。頭音は初めの音、脚音は終わりの音ですから、これを陰陽と五行に分けて整理してみます。

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