歌樽先生:つまり、日本の統治下にある「忍耐」の時期であることが背景になっている詩であるという認識ですね。
詩子アナ:はい。「楽天」では「가지:枝」が風が泣く対象になっていますが、「樹芽」では「가지:枝」では枝ごとに「芽」が出ているので、「希望」見える詩だと、こんな風に思いました。
歌樽先生:これで「설다해도」の内容が掴めてきましたね。
詩子アナ:そんな気がします。
歌樽先生:イメージとしてこの二つの詩が繋がっていると考えれば理解しやすいですね。では、
第20問:「설다해도」とは何に対して「설다」と言っているのでしょうか。
詩子アナ:ここがポイントですたね。では、やってみます。
第20問:①日本が韓国を支配していたという時代的背景に対して
②したいことができない社会的環境に対して
③豊かな生活とは程遠い経済環境に対して
④不遇な家庭環境に対して
⑤もろもろの不条理・不満に対して
言いたいのに言えない重層的状況がこのような詩になったのではないかと思いました。
歌樽先生:当時は検閲が厳しかったですから、書きたいことが書けなかったというのは、日常茶飯事の時代でしたね。
詩子アナ:大変な時代だったのですね。
歌樽先生:おさえるべき所はおさえられているようですから、こうした観点を生かして「樹芽」を訳詩してみましょう。
詩子アナ:はい。気を引き締めて訳詩してみます。
樹芽
설다해도 웬만한,
봄이안이어,
나무도 가지마다 눈을터서라!
木の芽
憂うも
まずは
春は春
木々も枝先ごとに芽が!
歌樽先生:なかなか新しい訳になりましたね。
詩子アナ:希望が見えるような訳になればと思いまして。
歌樽先生:「樹芽(수아)」を逆にすると「아수(明日)」になりますしね。もっとも、素月が意識していたかどうかは分かりませんが。
詩子アナ:音韻のことは考えていないのですが。
歌樽先生:訳詩がしっかりしていれば、音韻はあとから付いてくるものですから、気にすることはありません。
詩子アナ:ああ、そう言っていただいて安心しました。
歌樽先生:この近くに鴨料理のおいしいお店がありますので、そちらに行ってみましょう。
詩子アナ:えっ!スンデ料理ではなく、オリ(鴨)料理ですか。
歌樽先生:やはり、折々の料理を楽しむことも必要ですからね。
詩子アナ:あの、折り入ってお願いがありますが。
歌樽先生:ええ、分かっていますよ。すっかりスンデ料理の虜になったようですね。スンデもありますから、心配はいりませんよ。予約もすんでおりますよ。
詩子アナ:スンデとオリですか、安心しました。