ハングルの詩のある風景

수아 樹芽(木の芽) 第14回

詩子アナ:全部漢字のタイトルですね。「紙鳶」というのは何ですか。

歌樽先生:「紙凧(かみだこ)」のことです。

詩子アナ:紙凧には竹の枝が使われていますよね。

歌樽先生:使われているかも知れませんが、この詩では「가지:枝」は出てきません。

詩子アナ:「万里城」は「万里の長城」のことでしょうから、「枝」は無関係と考えると、「父母」でなければ「楽天」ということになるのですが・・・

歌樽先生:どちらでしょうか?

詩子アナ:確率は50%ということにして、気楽にやります。

18問:1)楽天(낙천)、です。

歌樽先生:内容的には楽天的とは言い難いですね。読んでみましょう。

詩子アナ:  <楽天:낙천>

살기에 이러한 세상이라고

맘을 그렇게나 먹어야지

살기에 이러한 세상이라고

지고 가지에 바람이 운다.

歌樽先生:確かに「가지」がありますね。自由に訳してみましょう。

詩子アナ:少し時間が必要ですが。自由にということで、こんなふうに訳してみました。

楽天

それもこれも世の定め

まことそうとも思わねば

それもこれも世の定め

風も涙す裸木の枝

歌樽先生:直訳とはずいぶん違った訳詩になっていますね。何かヒントになったものがあるんですか。

詩子アナ:「살기에 이러한 세상이라고:(直訳)生きるにこんな世の中だと」ってなにかもっと言いたいに違いない感じがするんです。それで、これには何かあるのではないかと。

歌樽先生:何かありましたか。

詩子アナ:まず、「とかくに人の世は住みにくい」という夏目漱石の『草枕』の冒頭の部分を思い出しました。

歌樽先生:「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。」に続く部分ですね。それで?

詩子アナ:生きづらさが極限に達していることを言おうとしたのではないかと思いました。『草枕』の方は人の世の生きづらさ、「樹芽」の方は置かれた状況での生きづらさを指しているのではないかと、こんな風に理解しました。

歌樽先生:「置かれた状況での生きづらさ」に思い至ったのはどういう理由からですか。

詩子アナ:「꽃 지고 잎 진 가지에 바람이 운다.(直訳:花が散り葉の落ちた枝に風が泣く)」と言う表現が「人」中心ではないように思えましたから。

歌樽先生:なるほど。表現上はそうかも知れませんが、人を詠っている点では変りありませんよ。

詩子アナ:はい。分かりました。あの、ここで問題を自分で作ってみましたが、いいでしょうか。

歌樽先生:もちろん構いませんよ。

詩子アナ:では、お言葉に甘えて、問題です。

19問:この詩は次のうち、どんな内容の詩でしょうか。

1)断念  2)忍耐  3)希望  4)転落

歌樽先生:なかなかよく考えられた問題ですね。4)は「楽天」の反対ということで「てんらく:転落」ということですか。

詩子アナ:はい、ヤッター! 久しぶりに褒められて最高です。

歌樽先生:「天楽:천락」と「転落:전락」は発音が違いますが、あとは、全てお任せましょう。

詩子アナ:いえいえ、全てといわれてもそれは困ります。この問題は自分で答えますが。

19問:答えは2)の忍耐です。

“수아 樹芽(木の芽) 第14回” への 1 件のフィードバック

コメントを残す