詩子アナ:分かりました。「うたこ」は1)です。
歌樽先生:冴えてきましたね。
詩子アナ:いろいろとヒントをいただいて、第11問は分かりました。
第13問:答えは1)です。
歌樽先生:その心は?
詩子アナ:「ココロ」だからです。カ行の音がありますから。
歌樽先生:正解!これで、第10問にずいぶん近づきましたよ。
詩子アナ:では、「カ行音」をヒントにこつこつとやってみます。
아침도 모르고 설잠을 자노라면
귓가에서 지저귀는 새소리
어젯밤 뒤설닌 바람비에
꽃 잎사귀는 얼마나 떨엿노
第3行目だけが「カ行」がありません。
歌樽先生:ということは?
詩子アナ:これは行単位でみると3つの行にカ行があり、1つの行にはない訳ですから、「2種3同」のタイプと見ることができます。
歌樽先生:そのように見ることもできますが、実はさきほどの井伏鱒二の訳と比べると面白いですよ。
原文「春暁」孟浩然
春眠不覚暁 ハルノネザメノウツツデ聞ケバ
処処聞啼鳥 トリノナクネデ目ガサメマシタ
夜来風雨声 ヨルノアラシニ雨マジリ
花落知多少 散ツタ木ノ花イカホドバカリ
詩子アナ:3行目にはどちらもカ行の音がないんですね。答が後先になりましたが、
第12問:答えは3)の第3行目です。
어젯밤 뒤설닌 바람비에
ヨルノアラシニ雨マジリ
金素月の訳と井伏鱒二の訳は何か関係があるのですか。
歌樽先生:関係はないでしょう。金素月の訳は1925年4月13日の『東亜日報』が初出で、井伏鱒二の訳の初出は1933年10月『文学界』(文化公論社)「田園記」とのことですから。どちらにもカ行の音がないのは偶然でしょう。ただ、新しい思想に接するという時代的背景の中で漢文調の訳だけでは満足できず、独自の訳を試みる必要性を強く感じはじめたのだと思われます。なぜ3行目に、井伏の訳にも素月の訳にも「カ行」の音がないのかは、このことと関係があるように思われます。
詩子アナ:「不覚暁(あかつきをおぼえず)」、「聞啼鳥(ていちょうをきく)」、「風雨声(ふううのこゑ)」、「花落知(はなおちることしる)」といった書き下し文ではどうしてもこの詩の場合「カ行」音がでてきますが、訳の方針をまったく変えたために3行目に「カ行」音がなくなったということですか。
歌樽先生:基本的にはそうだと言っていいでしょう。
詩子アナ:素月は誰の漢詩のハングル訳も参考にしないで訳詩をしたのでしょうか。
歌樽先生:一人では難しかったでしょうね。素月の師匠の金億先生は『꽃다발』(花束)という題で漢詩をハングル訳したものを1944年にだされています。この中には1910年代から訳詩なさったものもあって、恐らく素月にも参考にするように見せたのでしょう。
詩子アナ:孟浩然の「春暁」は金億先生の本には含まれていないのですか。
歌樽先生:では、これを問題にしましょう。
第14問: 金億の『꽃다발』という訳詩集に含まれる原詩の漢詩は次の内どれでしょうか。
1)中国の漢詩 2)朝鮮の漢詩 3)中国と朝鮮の漢詩 4)朝鮮女流詩人のみの漢詩
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